お薬を奪わないで! |
★「リタリン」というお薬を知っていますか?最近、テレビや新聞で知ったという方もいらっしゃると思います。 精神科や心療内科で処方されるお薬で、頑固なうつ病に使われているお薬です。 私たちうつ病の患者は、いろいろな抗うつ剤を試してみて、自分の症状や体質に合ったお薬を見つけていきます。 最近は抗うつ剤の種類も増え、自分に合ったお薬を見つけやすくなっています。 ですが、それでもなかなか抗うつ剤が効いてくれない、頑固なうつになってしまう人もいます(遷延化、といいます)。 そういう人たちに、対症療法的に処方されるのがリタリンなのです。中枢神経興奮剤、と分類されることもあります。 ★社会からドロップアウト、そして…。リタリンでうつ病は治りません。ですが、一時的にではありますが、うつ状態から抜け出すことができます。 うつ状態から抜け出すことができれば、何とか普通の社会生活を送ることができるのです。 私は、うつから来る意欲減退と過眠が激しく、一時期ヒキコモリのような生活をしていました。 仕事を辞め、一日中寝てばかり。収入もなくなり、自分はこれからどうなるのだろうと思うと、 うつに拍車がかかる毎日でした。そんな時に処方されたのが、リタリンでした。 精神科の門を初めてくぐってから2年以上過ぎ、いろいろなお薬を試してみて、 どれもはっきりした効果が得られない…という時でした。 薬が効いている間だけではありますが、何とか気持ちが上向きになるのが分かりました。 それから半年経ち、他の抗うつ剤を併用しながら、 現在では長期契約の派遣社員として社会に復帰することができました。
★ただ、乱用の危険性も。リタリンは、人によっては、服用後に高揚感や爽快感を感じる場合があります。 また、効いている時間も短いので、つい余計に服用したくなってしまいます。 ですから、このお薬は医師が発行する処方せんが必要で、慎重に投与されます。 しかし、 一部ではリタリンを「ビタミンR」と呼び、乱用する人がいます。 インターネットを利用して不正に売買されたり、クリニックを渡り歩いて大量のリタリンを手に入れたり、 社会問題になりつつあります。 この流れで、発売元のノバルティスファーマ社では、リタリンの適応症からうつ病を外す動きが出てきています ★他のお薬じゃだめなの?
抗うつ剤には、古くから使われている三環系、最近開発されたSSRIやSNRIといった系統のお薬があり、 症状や体質に応じて、医師と患者が治療方針などを相談しながら、 どのお薬を投与するのか決めてゆきます。 しかし、うつ状態は改善できても副作用に耐えられなかったり、なかなか自分に合う薬が見つからなかったりします。 そんなときに有効なのが、リタリンなのです。 確かに「一時しのぎ」ではあるのですが、一時しのぎをしながら自分に合う薬を探したり、 心身の状態をコントロールしながら社会生活を送ることができるようになるのです。 そして、中枢神経興奮剤にはリタリンの代わりになるお薬はありません。 新聞報道では代わりのお薬があるような書き方をされていますが、 それは抗うつ剤についてであって、中枢神経興奮剤についてではないのです。 おそらく、新聞記者の誤解に基づいた報道だろうと思われます。
★適応症から外されたら?
適応症からうつ病が外されても、処方を受けることはできます。 しかし、混合診療が認められていない現状では健康保険が利かず、全額自費での診療になります。 薬価の高い抗うつ剤を併用している患者も多く、多額の医療費がのしかかることになってしまうのです。 また、うつ病の患者はフルタイムの仕事につくことができず、所得が少ない場合が多いです。 私は自立支援医療の制度を利用していますので、精神科での診察・投薬の自己負担は一割で済んでいます。 また、低所得のため、月間の最大負担額は2,500円に抑えられています。 このほか、精神障害者三級に認定されていますので、所得税や住民税の障害者控除を受けることもできます。 こうした諸施策によって、なんとか生活しているのが実情なのです。 全額自費になったら…とてもではありませんが、生活することはできません。
★私たちが訴えたいこと発売元のノバルティスファーマ社に、うつ病からの適用除外をやめてもらいたいのです。 また、乱用防止のためのシステム作り。精神障害者手帳や自立支援医療のように、 第三者が処方の妥当性を判定したり、処方を受けられるクリニックを限定したり、方法はあると思います。 一部の乱用する人たちのために、 本当に必要とする患者のもとに、お薬が届かなくてもいいのでしょうか。 この文章も、お薬が効いている間に書いたものです。うつ状態では、こんな長文、とてもではありませんが書けません)
文責:矢萩 栄俊 Phone 090-3590-4875 E-mail yahagi@hamster.gr.jp Oct. 1, 2007
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